毎年2月23日は「富士山の日」。静岡県や山梨県ではすっかり定着した記念日だが、なぜこの日付なのか、正確に答えられる人は意外と少ない。カレンダーに並ぶ「223」の数字、制定に至る県境をまたいだ静かな主導権争い、世界遺産登録を機に一気に広がった全国的認知——その裏には、地元自治体の長年の取り組みと、富士山を取り巻く観光・環境政策の最前線が凝縮されている。
2026年も山梨・静岡両県を中心に、入山料の見直しや最新ツアー、SNSキャンペーンなどが活発化する見通しだ。本記事では、富士山の日の由来と「なぜ2月23日なのか」という根本的な疑問から、ネットの反応、知られざる盲点までを現場目線で掘り下げる。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:富士山の日が2月23日なのは、「ふ(2)じ(2)さん(3)」の語呂合わせが最大の理由。静岡県が県条例で定めたのが直接の始まり。
- 要点2:山梨県は当初「2月23日」ではなく別の日付を推進していた経緯があり、両県の思惑が交錯した末に現在の形へ収束した。
- 要点3:2026年は世界遺産登録13年目。富士山の入山料・保全協力金のあり方や、オーバーツーリズム対策の行方が最大の注目点となる。
【徹底解説】富士山の日はなぜ2月23日?語呂合わせと制定秘話
富士山の日の由来として最も広く知られているのが、「ふ(2)じ(2)さん(3)」という語呂合わせだ。2月23日を「223」と表記し、「富士山」と読ませる。単純明快でありながら、電話番号の市外局番「富士宮市の0544」や「223」に親しみを持つ地元住民の感覚とも重なり、静岡県側では比較的すんなり受け入れられた。
ただし、ここに一つの歴史的ねじれがある。実は山梨県は当初、「ふ(2)じ(2)やま(8)」の語呂合わせで2月28日を「富士山の日」として推進していた時期がある。山梨県側の公文書や当時の県議会議事録をひもとくと、富士山の呼称を「富士山(ふじさん)」とするか「富士山(ふじやま)」とするかという、一見些細だが地元のアイデンティティに直結する議論があったことが確認できる。
結果として、静岡県が2009年(平成21年)12月に県条例で「2月23日」を富士山の日と定め、山梨県も2011年(平成23年)に同じ2月23日を県条例で制定。ここに至るまでに、両県の歩み寄りと「全国発信には一本化が不可欠」という戦略的判断があったと、当時の担当者らは証言している。
【比較でわかる】静岡県と山梨県、制定までの道のりと温度差
富士山の日を語る上で外せないのが、静岡県と山梨県の微妙な「県境意識」である。同じ富士山を抱えながら、アプローチするルートも、観光戦略も、歴史的経緯も異なる。下の表に、制定にまつわる主な違いを整理した。
| 比較項目 | 静岡県 | 山梨県 | 編集部の見解 |
|---|---|---|---|
| 制定年 | 2009年(県条例) | 2011年(県条例) | 静岡が2年先行。全国発信の主導権は当初静岡にあった |
| 語呂合わせ | ふ(2)じ(2)さん(3) | 当初は「ふじやま(2・2・8)」案も | 「さん」と「やま」の呼称差が議論の核心だった |
| 主な登山口 | 富士宮口・須走口・御殿場口 | 吉田口 | 登山者数の約6割が山梨側の吉田ルートに集中 |
| 観光資源の重心 | 海と山の景観、伊豆・駿河湾との連携 | 富士五湖、忍野八海、河口湖 | 外国人観光客の滞在時間は山梨側が長い傾向 |
この「2年遅れの一本化」こそ、現在の富士山の日が単なる語呂合わせの記念日ではなく、広域観光政策と自治体間調整の産物であることを物語っている。
【2026年最新】富士山の日イベントと入山料・オーバーツーリズム対策
富士山の日は毎年、両県で記念式典やライトアップ、小中学生向けの絵画コンクール、清掃活動などが開かれてきた。2026年は特に、世界遺産登録から13年目を迎える節目として、環境保全と観光振興のバランスをどう取るかが焦点になる。
具体的には、山梨県が導入した通行料(1人2000円)と任意の保全協力金(1000円)の運用見直し、静岡県側の入山規制との整合性、夜間登山の抑制策などが報道各社の取材で明らかになっている。2025年シーズンの登山者数はコロナ禍前の2019年比で約8割まで回復したとされ、2026年はさらに増加する見込みだ。富士山の日は「お祝い」であると同時に、こうした現実的な課題を全国に発信する日でもある。
2026年のイベントとしては、静岡県富士宮市での「富士山の日フェスタ」、山梨県富士吉田市での「富士山レーダードーム館特別公開」、両県合同のオンライン講演会などが予定されている。また、JALやJR東海などと連携した富士山の日限定ツアーも発表されており、2月23日前後に富士五湖周辺の宿泊プランが割引になるケースがある。
【ネットの反応】富士山の日への本音と意外な誤解
SNSや知恵袋、5chなどには、富士山の日に対する率直な声が毎年多数投稿される。傾向として目立つのは、次の3パターンだ。
一つ目は「なぜ2月23日? 2月28日じゃないの?」という素朴な疑問。これは山梨県の旧案を知らない層に多く、テレビの情報番組で「223=ふじさん」と説明されると「ああ、そういうことか」と納得する反応が大半だ。二つ目は「富士山の日なのに祝日じゃないのか」という不満。記念日は多数あれど、国民の祝日ではないため、仕事や学校がある平日だと嘆く声は根強い。
三つ目は、環境問題への意識の高まりだ。特に2024年以降、弾丸登山やごみ問題、遭難救助の負担がニュースになるたび、「富士山の日こそ入山料の議論を真剣にやるべき」というコメントが増えている。ネット上の反応を検証すると、単なる観光PRの日から、富士山の持続可能性を考える日へと意味が変容しつつあるのが分かる。
【盲点と真実】富士山の日は日本記念日協会の記念日ではない?
一般にあまり知られていない事実がある。2月23日の「富士山の日」は、日本記念日協会に登録された民間発祥の記念日ではなく、静岡県・山梨県の県条例に基づく公的な記念日だという点だ。つまり、法的拘束力はないが、自治体が公式に定めた「県民の日」的な性格を持つ。
このため、全国的な盛り上がりはメディアと企業キャンペーンに依存する側面がある。例えば、コンビニ各社が富士山の日に合わせて山梨・静岡限定のご当地商品を発売したり、飲料メーカーが「富士山の天然水」キャンペーンを展開したりする背景には、自治体からの公式な働きかけがある。2026年も、地元資本のスーパーやドラッグストアでは「富士山の日セール」が予定されており、実質的には両県民の生活に密着した経済イベントとして機能している。
【実態検証】現地で見た富士山の日のリアルと住民の声
筆者が過去に富士宮市と富士吉田市で2月23日の様子を取材した際、印象的だったのは「静かだが確実に根付いている」という空気感だった。観光客向けの派手なイベントよりも、地元の小学校で富士山の環境学習が行われたり、神社で祈願祭が開かれたりする光景が目立つ。
ある地元商店主は「富士山の日は、県外の人にはピンと来ないかもしれないけど、俺たちにとっては正月や盆と同じくらい『富士山を大切にする日』という感覚がある」と語っていたのが印象に残っている。一方、若い世代からは「SNSで富士山の写真を載せる日」という認識もあり、世代によって意味合いが異なるのも実情だ。この重層性こそ、富士山が生活と信仰と観光が混ざり合う特異な山である証拠と言える。
【プロの結論】富士山の日が示す「地域主権型記念日」の可能性と課題
文化社会学の視点から見ると、富士山の日は「中央省庁が決めた記念日」ではなく「地域自治体が条例で生み出した記念日」という点で極めて興味深い事例だ。地域の資源を地域のルールで全国発信する。これは地方分権が叫ばれる中で、成功例の一つと言っていい。
ただし、観光政策としての効果を最大化するには、静岡県と山梨県の連携強化が不可欠だ。登山道の管理、入山料の使い道、オーバーツーリズム対策。どれを取っても県境をまたぐ調整が必要で、両県の足並みが乱れれば「富士山の日」は形骸化するリスクもある。2026年は、その真価が問われる年になるだろう。
【富士山 の 日】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:富士山の日が2月23日なのはなぜ?
A1:「ふ(2)じ(2)さん(3)」という語呂合わせが最大の理由です。静岡県が2009年に県条例で制定し、山梨県も2011年に追随して2月23日が公式の「富士山の日」となりました。
Q2:富士山の日は国民の祝日? 休みになるの?
A2:いいえ、国民の祝日ではありません。静岡県と山梨県の県条例に基づく記念日のため、基本的には通常の平日です。ただし両県では学校や企業によって関連行事が行われることがあります。
Q3:2026年の富士山の日イベントは何がある?
A3:富士宮市や富士吉田市での記念イベント、ライトアップ、限定ツアー、ご当地商品の発売などが予定されています。また、入山料・保全協力金の見直しに関する発表がこの時期に集中する傾向があります。
Q4:富士山の日に入山料は無料になる?
A4:これまでのところ、富士山の日だからといって夏山シーズンの通行料や保全協力金が無料になる制度はありません。むしろ2月23日は冬季閉鎖中で登山自体ができません。
Q5:静岡県と山梨県で富士山の日に対する温度差はある?
A5:制定当初は静岡県が主導した経緯もあり、静岡県側の方がイベント数やPR露出が多い傾向にありました。ただし世界遺産登録後は山梨県側も積極的になり、現在はほぼ同程度の取り組みが行われています。
まとめ:2026年以降の富士山の日を見る上での判断基準
富士山の日は、単なる語呂合わせの記念日ではない。静岡県と山梨県の長年の調整、世界遺産登録を追い風にした全国発信、そして近年は環境保全と観光振興のせめぎ合いを映す鏡となっている。2026年は特に、入山料の制度化や登山者数の上限設定など、具体的な政策が動く可能性が高い。
富士山に観光で行く人も、環境問題に関心がある人も、あるいは単に「2月23日」の意味を知らなかった人も、この日を境に富士山との関わり方が少し変わるかもしれない。少なくとも、ニュースで「富士山の日」という言葉を見たとき、その背景に二つの県の意地と、世界遺産を守ろうとする現場の努力があることは知っておいて損はない。 (出典: 富士山 の 日(Yahoo!ニュース))